スロガイ☆フラグ

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アレ鈴虫が書いている〜リーチメリーチメリーチメリン♪
あれは数年前、福岡でのことだった。翌日に福岡市内での仕事を控え、前泊した自分は、現地の友人Tと食事をしながらお酒を飲んでいた。


男は牙と持っているとよくいうが、牙よりも羽根だ。その日も羽根がニョキっと生えて、どちらから言い出すまでもなく夜の街、中洲に飛んで行った。


目的は言わずもがな。キャバレーだ。案内所に駆け込めば一発解決だが、自分は案内所でのやり取りや雰囲気がどうも苦手で、可能であれば道に立っているスーツ姿の兄ちゃんに声をかけてほしい。


そこまで言うなら仕方ねぇなぁと、一軒ぐらい遊んでってやるかと、次元のように帽子をおさえながらクールに、そしてスキップをしながら店に案内されたい。帽子はかぶっちゃいないが。


道にたむろしている兄ちゃんの甘い誘いに乗るのは、歌舞伎町ならリアルアウトレイジを経験する可能性もあるが、中洲は経験上、大丈夫。ニヤけながらタバコを吸う椎名桔平の前で膝をつくことはまずない。


この日も例に漏れず、気の良さそうな兄ちゃんの誘いに乗って、少しだけ遊んで帰ることにした。スーツ姿との交渉は、年下の友人Tに任せている。自分はシャイボーイだ。Tの話では、店はそれほど大きくないので、今は客がいて、女性が二人つけるかわからないという。


男性から見てのダブルチームは納得がいかない。やはり、マンツーマンが理想である。その話を聞いて渋っていると、スーツ姿の兄ちゃんが満面の笑みで、今ちょうどお客さんが帰られたそうなので問題ありません、そう言ってきた。時は来た。我々はツイている。


案内された雑居ビルの2階、その一室はやや薄暗かった。暗いほうがブスも少しはマシに見える。そう、何かの間違いで自分がイケメンに見える可能性だってある。ベストをビシッと着たボーイが椎名桔平に似ていたのは気になったが、それは刷り込みだ。心配いらない。


店内はたしかに狭かった。テーブルは6個ほどだろうか。客は幸いにも自分たちだけで、貸し切り状態である。これなら声のボリュームを上げても問題ない。たいした話でもないのに、精一杯の声量で「マジか?」と驚き、女の子の話を聞いてあげたい。ふっ、男は自分の話をするよりも聞いてあげるものだ。


店に入ったときのテンションは高めで、そこからエウレカの設定1みたいな下がり方をするのはよくある流れだが、この日は違った。隣についたコは普通にきれいで、二言三言、言葉を交わしただけで話しやすさを感じた。Tの横についたコも普通にかわいい。


これは当りだ。こんなにかわいいコがいるのに客はいないなんて、まさに穴場だ。喜びの指ぱっちんを鳴らそうとしたその刹那、脳に電流が走った。


「たしか、スーツの兄ちゃんは、この店を紹介するとき、客で一杯だと言っていた。それで迷っていたときに、客が帰ったと。わずか数分でゼロになるわけねぇぇぇ! これは詐欺師の常套手段。目の前で物が売り切れた、やっぱりラスト1個ありましたよという例のパターンじゃねーかぁぁぁ! つまり、この店はボッタクリだぁぁぁ!」


34年生きてきて、女を見る目はないと言われてきたが、魚とキャバクラを見る目には自信があったのに、俺が餌になってどうすんだ。やっぱり、ベストを着たボーイは桔平だったよ。裏でタバコ吸って時が来るのを待ってるよ。


なんとか情報を集めようと、女の子に店のことを聞くと、入店したばかりでよく知らないとのこと。くそっ、教えが行き届いてやがる。ボロは絶対に見せないよう徹底されている。このクソ店、クソ女が!


こうなったら同情させるしかない。自分は自然な流れで家族構成の話に持っていき、母ちゃんが病気で入院していてもう長くはないこと、治療費にこれまで苦しめられたことを語った。ちなみに、母ちゃんは何年も前に亡くなっている。仮病で近親者を葬ることはよくある話だが、死んだ人間を瀕死の状態に戻すのは新しいパターンだ。


もし、人間の心があるなら、そっと耳うちでこの店がボッタクリであること、逃げるのに最適な隠れ通路があることを教えてくれるはずだが、女はただ普通に悲しみの表情で励ましてくれただけだった。こいつは心に仮面をかぶっている。頑丈な鉄仮面を。


こうなったら逃亡しかない。電話がかかってきたフリをしてトイレに行き、何も気づかずバカみたいに楽しんでいるTに、自分たちが置かれている状況をLINEで伝えた。


その後に、長文で作戦を付け加えた。結論としては、会計額が書かれた伝票を受け取って、それを見た瞬間、俺は地面に叩きつける。それを合図に逃げる、単純だが、決死である。


席に戻るとTはLINEに気づいておらず、相変わらず楽しそうにしていた。そこで、こっちは一芝居うってTに気づいてもらうよう仕向けた。


明日、仕事先の担当の方に、ホテルまで迎えにきてもらうことになっているが、たしか待ち合わせ時間は9時だったか、その連絡がTにいってるかもしれないから確認してくれと言った。


もちろん、架空の話である。Tは、わかりましたとスマホを取り出すと、顔が青ざめていった。そして、こう告げた。


「鈴虫さん、明日、渋滞の可能性があるので、待ち合わせは8時30分になるそうです…」


そうじゃねぇぇぇ! 担当の人も何タイミングよく、LINEを送ってんだよ。俺が送ったやつを見ろぉぉぉ! ジェスチャーで俺、俺、俺も送ったことを伝えると、今度こそしっかり見てくれたようで、先ほどよりも神妙な顔つきになり、クマが落ち込んだ表情をしたスタンプを送りつけてきた。


てめぇ、今の状況がわかってんのかぁぁぁ! スタンプで心情を表すようなタイミングじゃねーし、裏には桔平が控えてんだよっ! こっちは母ちゃんまで生き返らせたのによっ!


あとは時が来るのを待つしかなかった。50分ほど経ったところでこちらから声を上げた。早いけど、もう帰ることを女の子に告げると、どこに潜んでいたのか、プロレスラーの中西学みたいな人が会計額を持ってやってきた。


桔平から中西学へ。体格が2倍になった。同時にボッタクリの可能性は10倍に。先に会計額を見た女性は驚いたような表情をしている。ここでも新人気取りか…。とことん、教育が行き届いている。もはや、感心するしかない。


自分は横からチラ見して、会計額の一部が見えてしまった。左に確かに「4」という数字が見えたのだ。4の時点でアウトである。ワンセットの滞在で、4万に到達することはまずない。いや、むしろ、4万なら安いもの。こりゃ、ボッタクリ適正の40万だろう。


すいません、明日、8時半にロビーで待ち合わせはできません。海の中にいるかもしれません。さあ、それでも抗いますか。最後に金額をこの目に焼きつけ、伝票を叩きつけて、逃げるだけ逃げてみよう。よっしゃ、行くぜと、伝票を開けたら………。


「あれっ? 4000円。よんせんえん?」


中西学に目を向ける。これって?


「鈴虫さん…ですよね? いつもテレビなどで見てます。今日はご来店、誠にありがとうございます。ウチの店はできたばかりで、なかなかお客さんがいないんですよ。もし、気に入っていただけたら、また福岡に来られた際はぜひ、遊びに来てください。本当はタダにしたいところですが、逆に気を使わせるのも悪いので、キャストのぶんだけいただきます」


アニキィィィ! アニキィィィ! アニキィィィ!


すいませんっ、ボッタクリだと思ってました。女の子は心ない鉄仮面だと思ってました。すべて勘違いでしたぁ。現場で大笑いしていたTと、そして自分を拳の骨が折れるまで殴りたい。


福岡は温かいところだなぁ。優しさは時に人を勘違いさせるよ。
08:30 | アレ鈴虫が書いている〜リーチメリーチメリーチメリン♪ | - | -|